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調剤薬局勤務の薬剤師です。 薬局での薬歴の書き方や、服薬指導のポイント、個別指導などの対応についてご紹介していきます。

平成26年度・指導指摘事項(東海北陸厚生局)

東海北陸厚生局発表による「平成26年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項」に基づき、薬歴記載の際に注意が必要な点をご紹介します。

Ⅰ 調剤全般に関する事項

1.処方せんの取扱い
◎ 次の不備のある処方せんを受け付け、調剤を行っている不適切な例が認められたので改めること。
 ・保険医の署名又は記名押印がない。
 ・使用期間を経過した処方せんによる調剤。
○ 「処方」欄の記載に次の不備のある処方せんにつき、疑義照会をせずに調剤を行っている不適切な例が認められたので改めること。
 ・用法の記載が不適切である。
  例 ゼローダ錠300(「医師の指示通り」とのみ記載)
 ・用法の記載がない。
  例 アンテベート軟膏0.05%、ヒルドイドソフト軟膏0.3%、プロペト

2.処方内容の変更
○処方内容の変更について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・薬剤の変更・追加、用法・用量の変更を、処方医に確認していない。

3.処方内容に関する薬学的確認
◎処方内容について確認を適切に行っていない(処方医への疑義照会を行っているものの、その内容等を処方せん又は調剤録に記載していないものを含む。)次の例が認められたので改めること。
 ・薬剤の処方内容より禁忌例への使用が疑われるもの
  例 消化性潰瘍が疑われる患者に対する処方
  バイアスピリン錠、プレドニン錠、モービック錠、セレコックス錠
 ・医薬品医療機器等法による承認内容と異なる効能効果(適応症)、用法、用量での処方が疑われるもの
  例 アドソルビン原末を外用剤として使用。
  例 抗菌薬、化学療法剤を投与していない患者に対するビオフェルミンR散の処方。
  例 統合失調症に伴う不眠症に対するマイスリー錠の処方。 例 モーラスパップ1日1回貼付(承認:1日2回貼付)
  例 ナパゲルンローションに、芳香・矯臭・矯味の目的でl-メントールを加えている。(用途外)
  例 消化性潰瘍の予防に対するランソプラゾールOD錠及びラベプラゾールNa錠の処方。
  例 ランソプラゾールOD錠30mgの継続投与(承認:バイアスピリン錠の消化性潰瘍の予防に対しランソプラゾールOD錠15㎎)。
  例 アシノン錠の朝・夕食後投与(承認:朝食後・就寝前)
  例 アテレック錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 アムロジピンOD錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 アレロックOD錠の朝・夕食後投与(承認:朝・就寝前)
  例 イコサペント酸エチル粒状カプセルの朝夕食後投与(承認:食直後)
  例 イルベタン錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 エクセラーゼ配合顆粒の食後投与(承認:食直後)
  例 エパデールS600の食後投与(承認:食直後)
  例 エパラ粒状カプセルの朝・昼食後及び就寝前投与(承認:食直後)
  例 オキサトミド錠の朝・夕食後投与(承認:朝・就寝前)
  例 オメプロトン錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 カルデナリン錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 キネダック錠の食後投与(承認:食前)
  例 キプレス錠の食後投与(承認:就寝前)
  例 ザイザル錠の夕食後投与(承認:就寝前)
  例 サインバルタカプセルの朝夕食後投与(承認:朝食後)
  例 ザンタック錠の朝・夕食後投与(承認:朝食後・就寝前)
  例 シメチジン錠の朝・夕食後投与(承認:朝食後・就寝前)
  例 ジルチアゼム塩酸塩徐放カプセルの1日2回投与(承認:1日1回)
  例 シングレア細粒の夕食後投与(承認:就寝前)
  例 タケプロンOD錠15の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 ツムラ茵蔯蒿湯エキス顆粒(医療用)の食後投与(承認:食前又は食間)
  例 ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)の食後投与(承認:食前又は食間)
  例 ツムラ柴苓湯エキス顆粒の食後投与(承認:食前又は食間)
  例 ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒の食後投与(承認:食前又は食間)
  例 ツムラ麦門冬湯エキス顆粒の就寝前投与(承認:食前又は食間)
  例 ディオバン錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 テオドール顆粒の朝夕食後投与(承認:朝・就寝前)
  例 ナウゼリン錠の食後投与(承認:食前)
  例 ナウゼリンドライシロップ1%の食後投与(承認:食前)
  例 ニフェジピンCR錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 ニフェランタンCR錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 ノルバスクOD錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 ブロプレス錠の1日2回投与(承認:1日1回)
  例 マイスリー錠の就寝前投与(承認:就寝直前)
  例 ロトリガ粒状カプセル2gの食後投与(承認:食直後)
  例 レベミル注フレックスペンの1日3回投与(承認:1日1回又は2回)

 ・過量投与での処方が疑われるもの
  例 モーラステープ
  例 ロキソニンテープ
  例 バイアスピリン錠100mgの1日2回朝夕食後2錠投与。(承認:1日1 回、症状により1回300mgまで増量可。)
  例 内服薬のサインバルタカプセル20mgが18日分として処方されているところ、頓服薬のリーゼ錠5mgが1日2回まで56錠として処方されている。(内服薬より頓服薬が多く処方されている。)
  例 リスパダールOD錠2mgが頓服薬として10錠追加処方され、別に内服薬として1日3回10mgが処方されている。(承認:1日2~6mg、原則として2回分割経口投与。1日12mgまで。)
  例 ロキソニン錠60mgを1日180mg服用する他にロキソニンテープ及びロキソニンパップの処方。(承認:1日最大180mg)
  例 ホスレノール顆粒分包の1500mgの増量処方。(承認:増量する場合、 増量幅を1日量750mgまでとし、1週間以上の間隔をあけて行う。)

 ・倍量処方が疑われるもの
  例 グッドミン錠0.25mgの内服薬30日分及び頓服薬12回分の処方。

 ・相互作用(併用禁忌・併用注意等)があるもの
  例 メルカゾール錠とチラーヂン S 錠
  例 ハーフジゴキシンKY錠と重カマの服用時間の重複。
  例 アバプロ錠とテルネリン錠
  例 ブルフェン錠100とガスターD錠10mg
  例 ロゼレム錠8mg(ラメルテオン)とマクロライド系抗菌薬(高齢者が服用する場合の服用間隔。)
  例 リピトール錠とゼチーア錠
  例 アトルバスタチン錠とリピディル錠
  例 グラクティブ錠とサラザック配合顆粒
  例 チワンカプセルとハドドリン錠(服薬間隔)

 ・重複投薬又は薬学的に問題があると思われる併用が疑われるもの
  例 ガスターD錠とタケプロンOD錠
  例 モーラステープとロキソニンテープ
  例 グラクティブ錠25mgとネシーナ錠25mg
  例 エックスフォージ配合錠とユニシア配合錠LD
  例 レザルタス配合錠HDとオルメテック錠20mg
  例 カロナール錠200とPL配合顆粒
  例 アイミクス配合錠LDとアムロジピン錠2.5mg
  例 ジキリオンシロップ0.02%及びインタール細粒10%とアレジオンドライシロップ1%(小児)
  例 アレグラ錠とザイザル錠
  例 PL配合顆粒とコカール錠200mg(アセトアミノフェン)

 ・投与期間の上限が設けられている医薬品について、その上限を超えて投与されているもの
  例 8週を超えるランソプラゾールOD錠15mgの投与
  例 12週を超えるセロクラール錠20mgの投与
  例 12週を超えるケタスカプセル10mg、イフェンプロジル酒石酸塩錠20mgの投与
  例 オメプラール錠
  例 タケプロンOD錠
  例 ネキシウムカプセル
  例 パリエット錠

  ・漫然と長期にわたり処方されているもの
  例 アリナミンF糖衣錠
  例 アルファロールカプセル
  例 エディロールカプセル
  例 シナール配合錠
  例 ビタメジン配合カプセル
  例 ピドキサール錠
  例 ヒポテリオールカプセル
  例 メコバラミン錠
  例 メチコバール錠

4.調剤
○調剤について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・一般名処方に係る処方せんや後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合であって、当該処方に係る後発医薬品を支給可能又は備蓄しているにもかかわらず、先発医薬品を調剤している。(一般名処方に係る処方せんや後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた保険薬局の保険薬剤師は、患者に対して後発医薬品に関する説明を適切に行うとともに、後発医薬品を調剤するよう努めなければならない。)

5.調剤済処方せんの取扱い
○調剤済処方せんについて、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・調剤年月日の記載と調剤済印の日付の相違。
 ・実際に調剤を行った保険薬剤師の氏名の記載・押印又は署名がない。
 ・医師に疑義照会した場合の回答内容等の記載がない。
 ・必要な事項(調剤済の旨、調剤年月日、保険薬局の名称・所在地)の記載がない。

○調剤済処方せんについて、調剤済となった日から3年間保存していない例が認められたので改めること。

6.調剤録等の取扱い
◎保険薬剤師は、患者の調剤を行った場合には、遅滞なく、調剤録に当該調剤に関する必要な事項を記載しなければならないとされているが、調剤録を作成していない例が認められたので改めること。

○調剤録の記入について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・次の事項の記載内容の誤り。 調剤年月日、薬剤点数、請求点数
 ・次の事項の記載がない。 薬剤名、調剤量、処方せんを交付した医師の氏名、医師の住所又は勤務する病院等の名称・所在地
 ・保険薬剤師の氏名記載・押印について、記載されている氏名と押印の氏名が相違。
 ・貼紙による訂正。
 ・服用時点が同一である薬剤について、調剤録では1剤としていない。

○調剤録について、最終の記入の日から3年間保存していない例が認められたので改めること。

Ⅱ 調剤技術料に関する事項
1.基準調剤加算
○基準調剤加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・参加予定の研修について、実施計画を適切に作成していない。
 ・開局時間が地域の保険医療機関や患者の需要に対応していない。

2.嚥下困難者用製剤加算
○嚥下困難者用製剤加算について、 次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・剤形加工の必要性を調剤録等に記載していない。
 ・嚥下障害等と確認されない患者に対して算定している。
 ・剤形の加工を薬学的な知識に基づいて行っていない。

3.一包化加算
○一包化加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・治療上の必要性が認められない場合に算定している。
 ・吸湿性を有する薬剤の一包化の適否について、薬学的に問題がないかの判断を行っていない。
 ・薬剤師が一包化の必要性を認めた具体的な理由及び医師に了解を得た旨を調剤録等に記載していない。

4.自家製剤加算
○自家製剤加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている。
 ・割線がない錠剤の半割について、薬物動態及び品質上問題がないことを確認していない。
 ・製剤工程の記載を調剤録等に記載していない。

Ⅲ 薬学管理料に関する事項
1.薬剤服用歴管理指導料
○レセプトコンピュータの初期設定が、常に薬剤服用歴管理指導料を算定するようになっており、自動的な算定となるおそれがあるため改めること。

2.薬剤服用歴の記録
○薬剤服用歴の記録について、次の事項等の記載がない例が認められたので改めること。
 ・氏名
 ・生年月日
 ・性別
 ・被保険者証の記号番号
 ・住所
 ・必要に応じて緊急時の連絡先等
 ・アレルギー歴
 ・副作用歴
 ・患者又はその家族等からの相談事項の要点
 ・残薬の状況の確認
 ・患者の服薬中の体調の変化
 ・併用薬等の情報
 ・合併症を含む既往歴に関する情報
 ・他科受診の有無
 ・副作用が疑われる症状の有無
 ・飲食物(服用中の薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況
 ・後発医薬品の使用に関する患者の意向
 ・手帳による情報提供の状況
 ・服薬指導の要点

○薬剤服用歴の記録について、調剤の都度記載していない。また、実際の処方内容と異なる処方記録を記載している例が認められたので改めること。

○薬剤服用歴の記録について、同一患者の全ての記録が必要に応じて直ちに参照できる保存・管理体制になっていない例が認められたので改めること。

○どのような副作用等に着目して聴取を行ったか等、薬学的な観点から聴取・確認した内容を薬剤服用歴の記録に記載し、患者への指導により活用できる記録となるよう 努めること。

3.薬剤情報提供文書
○薬剤情報提供文書について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・提供した文書に、薬剤の形状(色、剤形等)、用法・用量、効能・効果、副作用、相互作用を記載していない。

4.経時的に薬剤の記録が記入できる薬剤の記録専用の手帳
○お薬手帳について、服用に際して注意すべき事項の記載が不適切な例が認められたので改めること。
 ・重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注 意すべき事項(内容)を記載していない。

5.薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)の保存等
○薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・真正性について、パスワードの有効期間を設定していない。(最長2か月)
 ・見読性について、電子保存システムから印刷された薬剤服用歴のアレルギー欄に牛乳アレルギーや鉄剤及びサプリメントの併用等のチェックが記載されていない。

6.重複投薬・相互作用防止加算
○重複投薬・相互作用防止加算について、次の不適切な例が認められたので改めるこ と。
 ・処方医に照会を行った結果、薬剤が追加になった場合に算定している。
 ・処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載していない。

7.特定薬剤管理指導加算
○特定薬剤管理指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・対象となる医薬品に関して、患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点を薬剤服用歴の記録に記載していない。
 ・「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」を参考に管理及び指導が行われていない。
 ・特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している。
 ・患者又はその家族等に、当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え ていない。

8.乳幼児服薬指導加算
○乳幼児服薬指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・患者の家族等に確認した内容及び服薬指導の要点を薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していない。
  例 乳幼児に係る処方せんの受付の際に確認した、体重、適切な剤形その他必要な 事項等。
  例 誤飲防止等の必要な服薬指導の要点。

Ⅳ 事務的事項

1.届出事項
◎届出事項に変更があった場合は、速やかに東海北陸厚生局長に届け出ること。
 ・開局時間の変更、勤務保険薬剤師の異動。(採用・退職・勤務形態の変更)

2.掲示事項
○掲示事項について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 ・個別の調剤報酬の算定項目が分かる明細書を発行する旨の掲示がない。
 ・調剤報酬点数表の一覧等が患者の見やすい場所に掲示されていない。
 ・夜間・休日等加算の対象となる日及び受付時間帯を保険薬局内のわかりやすい場所に掲示していない。(調剤料の夜間・休日等加算関係)
・ 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であることを保険薬局の内側及び外側の見やすい場所に掲示していない。(基準調剤加算関係)

3.一部負担金等の取扱い
○領収証が「点数表の各節単位で金額の内訳の分かるもの」になっていないため改めること。

Ⅴ その他の事項
1.保険請求に当たっての請求内容の確認
○保険薬剤師による処方せん、調剤録及び調剤報酬明細書の突合・確認を行うこと。

2.関係法令の理解等
○被保険者証のコピーを保有することは、個人情報保護の観点から好ましくないので 改めること。

薬歴は当日中に記載が原則

平成28年度調剤報酬改定により、薬歴の記載については

患者又はその家族等と対話することにより、当該患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化、残薬の状況等の情報を収集し、その要点を薬剤服用歴の記録に記載するとともに、これに基づき、投与される薬剤の適正使用のために必要な服薬指導を行うこと。薬剤服用歴の記録への記載は、指導後速やかに完了させるとともに、同一患者についての全ての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう患者ごとに保存・管理すること。(別添3 調剤報酬点数表に関する事項 <薬学管理料> 区分10(1)イ)

と、「指導後速やかに」という文言が加えられました。

薬学管理料(薬剤服用歴管理指導料)の算定要件としての記載です。
この「速やかに」が、いつまでを指すのかが焦点になりますが、法律用語としては、
「直ちに」>「速やかに」>「遅滞なく」
という強さで表すことが多いようです。

2015年に制定された、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)による「薬剤服用歴(薬歴)管理ガイドライン」では、「応需時(服薬指導終了時)に記載することを原則とし、やむを得ない場合があったとしても、遅くとも調剤した当日のうちに記載する」としており、特別な事情がない限り、当日中に薬歴の記載を終えることを原則とするべきだと考えます。

最近の指導監査の状況(5)(平成26年度)

日本薬剤師会雑誌 第67巻 第8号「最近の指導監査の状況について(平成26年度 社会保険指導者研修会資料より抜粋)」を基に、服薬指導・薬歴記載の際に気をつけたい点についてご紹介します。
これらの内容は、個別指導(新規個別指導、再指導)等の際に重点的に確認される点でもありますので、注意が必要です。

保険薬局における主な指摘事項

Ⅲ:薬学管理料に関する事項

4.経時的に薬剤の記録が記入できる薬剤の記録専用手帳「おくすり手帳」による情報提供について、次の不適切な例が認められた。
 ・手帳に生年月日、連絡先、アレルギー歴、副作用歴、患者の主な既往歴、用量、メトトレキサート錠の1回量を記載していない。
 ・用法の記載が誤っているまたは不適切である。

5.薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)の保存等
(1)次の不適切な事項が認められた。
 ・運用管理規定に監査に関する記載がなく、監査体制もないので、運用管理規定を見直すとともに、監査体制を整えること。
 ・電子保存について、次の問題が認められた。
 (ア)真正性について
  ・パスワードの有効期問を設定していない
  ・ウィルス対策が行われていない。
 (イ)保存性について
  ・電子薬歴システムの更新時に、「指導内容」欄の部分を滅失した。
  ・ウィルス対策が行われていない。
  ・サーバーの設置場所に許可された者以外の者が入室可能となっている。

(2)管理体制について
 ・権限設定が不適切である。
 ・既に退職した者に付与したID/不要なIDが有効なままとなっている。
 ・事務員全員が同一のID、パスワードを使用していた。
 ・非常勤の薬剤師にはIDが発行されておらず、管理薬剤師のID、パスワードを使用していた。
 ・入力を行う個人毎にIDを発行すること
 ・ID及びパスワードは、本人しか知り得ない状態に保つこと。

(3)最新版の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠するよう運用管理規程の更新を行う等、より適切な運用に努めること。

6.麻薬管理指導加算
麻薬の残薬の状況を確認していない例が認められた。

7.重複投薬・相互作用防止加算
単一の処方箋の処方内容について算定している例が認められた。

8.特定薬剤管理指導加算(ハイリスク加算)
次の不適切な例が認められた。
 ・該当しない医薬品について算定している。
  ヘルベッサーRカプセル、糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛,しびれ感)の改善に用いたメキシチール、制吐日的で使用したデカドロン
 ・対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点を薬剤服用歴の記録に記載していない。
  イレッサ,テイーエスワン,ノボリン30R注,プラビックス

9.乳幼児服薬指導加算
 ・家族等に対して適切な服薬方法,誤飲防止等の必要な服薬指導を行っていない場合に算定している例が認められた。

10 在宅患者訪問薬剤管理指導料
薬剤服用歴の記録に住所、アレルギー歴、副作用歴を記載していない例が認められた。

最近の指導監査の状況(4)(平成26年度)

日本薬剤師会雑誌 第67巻 第8号「最近の指導監査の状況について(平成26年度 社会保険指導者研修会資料より抜粋)」を基に、服薬指導・薬歴記載の際に気をつけたい点についてご紹介します。
これらの内容は、個別指導(新規個別指導、再指導)等の際に重点的に確認される点でもありますので、注意が必要です。

保険薬局における主な指摘事項

Ⅲ:薬学管理料に関する事項

1.薬剤服用歴管理指導料
(1)レセプトコンピュータの初期設定が、薬剤服用歴管理指導料及び特定薬剤管理指導加算を算定するようになっており、自動的な算定となるおそれがある。
(2)事務員が、レセプトコンピュータの入力時に薬剤服用歴管理指導料を算定しており、自動的な算定となるおそれがある。
(3)次の事項について、処方箋の受付後薬を取りそろえる前に患者等に確認していない不適切な例が認められた。
 ・患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の患者についての情報
 ・患者又はその家族等からの相談事項
 ・服薬状況
 ・残薬の状況
 ・患者の服薬中の体調の変化
 ・併用薬等の情報
 ・合併症を含む既往歴に関する情報
 ・他科受診の有無
 ・副作用が疑われる症状の有無
 ・食物(服用中の薬剤との相互作用が認められているものに限る)の摂取状況
 ・後発医薬品の使用に関する患者の意向
(4)手帳を持参しなかった患者に対して必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付した場合に、薬剤服用歴管理指導料の「注1」ただし書にかかる所定の点数を算定してない不適切な例が認められた。
(5)一般名処方が行われた医薬品について、後発医薬品を調剤しなかった理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載していない不適切な例が認められた。

2.薬剤服用歴の記録
(1)次の不適切な例が認められた。
 ・最終の記入の日から3年間保存していない。
 ・次の事項の記載がない
  ・住所、緊急時の連絡先等
  ・処方内容に関する照会の要点等
  ・アレルギー歴
  ・副作用歴
  ・服薬状況、残薬状況の確認
  ・患者の服薬中の体調の変化
  ・併用薬等の情報
  ・他科受診の有無
  ・副作用が疑われる症状の有無
  ・飲食物(服用中の薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況
  ・後発医薬品の使用に関する患者の意向
  ・手帳による情報提供の状況
  ・服薬指導の要点
  ・指導した保険薬剤師の氏名
 ・残薬の状況の確認が不適切である。
  ・「定時薬」との記載のみである。
  ・残薬がある(ない)と考えられるものにつき、「残薬なし(あり)」と記載されている。
 ・調剤の都度記入していない不適切な例が認められた。
 ・鉛筆で記載している。
 ・修正テープにより修正している(修正前の記載内容が判読不能)。
 ・「サマリー」と称する別紙が作成され、これが薬剤服用歴の記録の一部であるとのことであるが、患者の氏名等の記載がない。
 ・一部が着脱自由な付箋で作成されている。

3.薬剤の名称等に関する主な情報を提供する文書(薬剤情報提供文書)
(1)薬剤情報提供文書により情報を提供していない不適切な例が認められた。
(2)次の不適切な例が認められた。
・次の事項の記載がない又は不適切である.
 (ア)用法
 ・記載がない(強力ポステリザン、アラミスト点鼻液、イクセロンパッチ、ノボラビッド、ノルスパンテープ、ヒルドイドソフト軟膏、フルメタローション他)
 ・記載が不適切である(メトトレキサートカプセル他)
 ・「医師の指示」となっている(メプチンエアー)
 ・「用法口授」との記載のみ(塩化ナトリウム)
 ・「湿布」との記載のみ(モーラステープ)
 ・「注射薬」との記載のみ(レベミル注)
 ・「貼付」との記載のみ(イクセロンパッチ他)
 ・「疼痛時にお飲みください」との記載のみ(ボルタレンサポ)
  (※筆者注:用法の誤りを含む、との指摘と思われます)
 ・用法の記載が誤っている(ボナロン錠)
 ・1回の貼付枚数を記載していない(フェントステープ)
 ・「1回1錠ずつ」との記載と共に「1回2錠」とも記載されている(レンドルミン錠)
  (※筆者注:処方箋に記載された頓服用用法の併記指示をそのまま転記したのではないか?と推察します)
 ・他の薬剤同時に服用する旨の記載になっている(クレメジン細粒)
 (イ)用量
 ・記載がない(テレミンソフト坐薬、センノサイド錠、モーラステープ、ヒルドイドソフト軟膏、トレシーバ注、エンシュア・リキッド他)
 (ウ)効能、効果
 ・乳糖水和物、塩化ナトリウム
 (エ)副作用
 ・モサプリドの劇症肝炎
 ・イグザレルトの間質性肺疾患
 ・セロクエルの低血糖
 ・モーラステープの接触性皮膚炎及び光線過敏症
 ・メトグルコの乳酸アシドーシス
 ・プラビックスの出血
 ・エビリファイ錠の糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡及び低血糖
 ・ボノテオの顎骨壊死、顎骨骨髄炎
 ・ラミシールの重篤な肝障害
 ・リウマトレックスの問質性肺炎
 (オ)後発医薬品に関する情報
 ・後発医薬品の薬価基準への収載の有無
 ・自局において支給可能又は備蓄している後発医薬品の名称及びその価格(備蓄しておらず、かつ、支給もできない場合はその旨)
 (カ)服用及び保管取扱い上の注意事項
 ・レナジェルの服用上の注意事項の記載がない
  (※筆者注:併用薬の吸収遅延・吸収量減少防止?)
 ・アボルブの服用上の注意事項の記載がない
  (※筆者注:噛まずに服用?女性や子どもに触れさせない?)
 ・フォルテオ皮下注キットの持続性の血清カルシウム値上昇が疑われる症状
 ・モーラステープの保管取扱い上の注意事項の記載がない
 ・用法に関する記載について、患者等が理解しやすい表現になっていない(モーラステープ)。
 ・効能・効果に関する記載について、不整脈用剤として処方されたと考えられるが、「心臓の負担を和らげる薬」と誤解を招く表現となっている(メインテート錠5mg)。

最近の指導監査の状況(3)(平成26年度)

日本薬剤師会雑誌 第67巻 第8号「最近の指導監査の状況について(平成26年度 社会保険指導者研修会資料より抜粋)」を基に、服薬指導・薬歴記載の際に気をつけたい点についてご紹介します。
これらの内容は、個別指導(新規個別指導、再指導)等の際に重点的に確認される点でもありますので、注意が必要です。

保険薬局における主な指摘事項

Ⅱ:調剤技術料に関する事項

1.基準調剤加算
「薬局の求められる機能とあるべき姿」の公表について(平成26年1月21日薬食総発0121第1号)の機能について、患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを整備するよう努めること。

2.調剤料
次の不適切な例が認められた。
 ・処置に用いる薬剤(キシロカインゼリー)につき、調剤料を算定している。
 ・頓服薬(マクサルト錠10mg)を調剤したにも関わらず、内服薬の調剤料を算定している。

3.一包化加算
治療上の必要性が認められない場合に算定している例や、医師の了解を得た上で行ったものではない場合に算定している例が認められた

4.自家製剤加算
調剤した医薬品と同一剤形及び同規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている(メネシット配合錠)例や、予製剤による場合にも関わらず、100分の20に相当する点数を算定していない例が認められた。

(※筆者注:メネシット配合錠100(割線あり)を1/2錠に割錠し調剤したために、自家製剤加算を算定した事例に対しての指導と思われます。メネシット配合錠他のレボドパ・カルビドパ配合剤の後発医薬品として「ドパコール配合錠L50」(日医工)があるため、半割にした場合は自家製剤加算は算定できない、という指導と考えられます。)

5.計量混合調剤加算
薬学的に問題ないと判断していない不適切な例(デルモベート軟膏とヒルドイドソフト軟膏)が認められた。

(※筆者注:デルモベート軟膏(成分名:クロベタゾールプロピオン酸エステル、グラクソ)+ヒルドイドソフト軟膏(成分名:ヘパリン様物質、マルホ)の混合においては、着色や含量変化が示唆されたデータがあります。)

最近の指導監査の状況(2)(平成26年度)

日本薬剤師会雑誌 第67巻 第8号「最近の指導監査の状況について(平成26年度 社会保険指導者研修会資料より抜粋)」を基に、服薬指導・薬歴記載の際に気をつけたい点についてご紹介します。
これらの内容は、個別指導(新規個別指導、再指導)等の際に重点的に確認される点でもありますので、注意が必要です。

保険薬局における主な指摘事項

Ⅰ:調剤全般に関する事

4.不適切な調剤
(1)前回の処方内容に基づき、処方箋受付前にあらかじめ調剤を行っている。

(2)後発医薬品への変更調剤
(※筆者注:単にその行為だけではなく、「先発品を調剤せざるをえなかった適切な理由」などを薬歴へ記録していない場合を含むと思われます。)
・処方医が後発医薬品への変更を認めている場合でも、患者に対して後発医薬品に関する説明を適切に行っていない
・一般名処方に係る処方箋を受け付けた場合で当該処方に係る後発医薬品を備蓄しているにも関わらず先発医薬品を調剤している
・一般名処方に係る処方箋を受け付けた場合で当該処方に係る後発医薬品を備蓄しているにも関わらず先発医薬品を調剤している
・変更調剤が可能な処方箋を受け付けた場合であって、当該処方に係る後発医薬品を支給可能又は備蓄しているにも関わらず、先発医薬品を調剤している

5.調剤済処方箋の取扱い
(1)次の事項の記載がない/不適切な/不明瞭な例が認められた
・調剤済年月日(日付印の欠け、日付間違い等含む)
・保険薬局の所在地
・保険薬局の名称,
・保険薬剤師の署名又は姓名の記載、押印(※筆者注:姓のみの判は不適切とされる場合があります。)
(※筆者注:平成26年7月10日 厚生労働省医薬食品局総務課 事務連絡により、
「薬局において調剤した薬剤師は、調剤済みである旨及び調剤した薬剤師の氏名が入ったスタンプを処方箋に押した場合は、調剤した薬剤師の氏名の記名を行ったものとして取扱い、この記名を別途しなくても差し支えない。」
と通達されました。つまり、「氏名入り調剤済日付スタンプ」+「氏名判」で条件を満たします。)

(2)調剤済処方箋の備考欄又は処方欄に記入する次の事項の記載がない例が認められた。
・医師又は歯科医師に照会を行った場合、その回答内容

(3)調剤済処方箋への保険薬剤師の署名又は姓名の押印を事務員が行っている。

6.調剤録の取扱い
調剤録の記入について次の不適切な例が認められた。
・実際の調剤年月日/発行年月日の翌日の日付が処方箋に記載されている。
(※筆者注:事前の調剤・薬剤の授受の発生後に、処方箋発行が行なわれているという事例だと思われます。)
・医師.歯科医師の同意を得て処方箋に記載された薬品を変更して調剤した場合、その変更内容をしていない。
・調剤料について、実際には1錠調剤したのに、2錠調剤した旨が記載されている。
・調剤した薬剤の薬剤点数について、実際には1錠調剤したのに、2錠調剤した場合の薬剤点数が記載されている。
・鉛筆で訂正している。
・調剤録の修正を行った際、修正前の記載内容が判読不能のものがある。

7.処方箋及び調剤録の保存(電磁的記録の場合)
電磁的記録の保存等に、原本としての紙媒体とは別に電子化した処方箋及び調剤録につき、運用管理規程がない例が認められた。

最近の指導監査の状況(1)(平成26年度)

日本薬剤師会雑誌 第67巻 第8号「最近の指導監査の状況について(平成26年度 社会保険指導者研修会資料より抜粋)」を基に、服薬指導・薬歴記載の際に気をつけたい点についてご紹介します。
これらの内容は、個別指導(新規個別指導、再指導)等の際に重点的に確認される点でもありますので、注意が必要です。

保険薬局における主な指摘事項

Ⅰ:調剤全般に関する事

1.処方箋の取り扱い
(1)病院従業員から患者の処方箋を受け取り、従業員に薬剤を預けていた
(2)麻薬免許番号のない麻薬処方箋を受け付けていた
(3)不備な処方箋による不適切な調剤
・用量記載が不適切:用量記載なし(外用薬:1日量の記載なし)、用量記載不適切(外用薬:1日の回数のみの記載)
・用法記載が不適切:用法記載なし(貼付剤・塗布薬・トローチ)、用法不適切(外用部位、用法「頻回」「必要時」など)

2.処方内容の変更
(1)薬剤の用法・用量の変更を、処方医に照会せずに行なっている

3.処方内容に関する薬学的確認
(1)適切な疑義照会が行なわれていない/行っているが記録がない
・禁忌例への使用;気管支喘息が疑われる患者へのゾルピデム(マイスリー他)の処方
・適応外処方が疑われる;メトトレキサート(リウマトレックス)の関節リウマチでの処方、
アスピリン(バイアスピリン他)の虚血性脳血管障害・脳梗塞の血栓・塞栓抑制での処方、
抗生物質・化学療法剤が併用されていない耐性乳酸菌(エンテロノンR、コレポリーR、ビオフェルミンR、ラックビーR)、
統合失調症患者へのゾルピデム(マイスリー他)の処方
・添付文書と異なる用量;レボカルニチン(エルカルチン)、センノサイド(プルゼニド)、メマンチン(メマリー)
・添付文書と異なる用法;1日1回カルシウム拮抗薬(アムロジピン)の1日複数回投与、
1日1回ARB(オルメサルタン(オルメテック)他)の1日複数回投与、
フェブキソスタット(フェブリク)の1日複数回投与、
プロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾール(タケプロン)他)の1日複数回投与、
漢方製剤(芍薬甘草湯他)、
EPA製剤(エパデール他)の「食直後」以外の投与
・過量投与;フルニトラゼパム(ロヒプノール他)
・倍量処方;トリアゾラム(ハルシオン他)、アルプラゾラム(ソラナックス他)、フルニトラゼパム(ロヒプノール他)他
・相互作用が疑われる;ポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート)と酸化マグネシウム(マグラックス他)
・重複投与;先発品+後発医薬品
・薬学的に問題がある多剤併用;ARB2種の併用(オルメサルタン(オルメテック)+テルミサルタン(ミカルディス)等)、
Ca拮抗薬の併用(アムロジピン(アムロジン他)+ニフェジピン(アダラート他)、アムロジピン・アトルバスタチン配合錠(カデュエット)+ベニジピン(コニール他)等)、
コリンエステラーゼ剤の併用(ドネペジル(アリセプト他)+ガランタミン(レミニール)等)
同有効成分の併用(パリペリドン(インヴェガ)+リスペリドン(リスパダール)(パリペリドンはリスペリドンの活性代謝物)他)
同一作用機序薬の併用(NSAIDs2種(セレコキシブ(セレコックス)+ロキソプロフェン(ロキソニン他)、
BZD受容体作用薬の併用(ゾルピデム(マイスリー他)、エスタゾラム(ユーロジン他)、リルマザホン(リスミー)、フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース他)、ブロチゾラム(レンドルミン他)等)
・投与期間の上限を超えての処方;12週を超えるエパルレスタット(キネダック他)の投与、
8週間を超える1日3,600mgのメサラジン(アサコール他)の投与、8週間を超えるエソメプラゾール(ネキシウム)の投与、
30日を超えるフルニトラゼパム(ロヒプノール他)の投与、14日を超えるブプレノルフィン貼付(ノルスパンテープ)の投与
・漫然と長期に投与されているもの;
①2週間を超える投与:モサプリド(ガスモチン)、ラメルテオン(ロゼレム)
②月余にわたる投与:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンEなど
(ビタファント、メチコバール、ユベラ、ハイシー、ノイロビタン、ワッサーV、ビタメジン他)

疑義照会の記録について

薬剤師法第二十四条に定められている通り、疑義照会は薬剤師にとって最も重要な業務の1つです。
疑義照会を行ったら、薬歴にもその記録をしっかり残しておきましょう。

●処方箋への記録のポイント

①処方箋へ照会内容を記録する位置
(1) 処方箋の備考欄※最も望ましいとされています
(2) (1)で収まらない場合は、「以下余白」以降の空欄
(3) (1)・(2)で収まらない場合は、処方箋の裏面余白
(裏面に調剤録を印刷する場合は、調剤録と重ならない部分)

②処方箋に記録する内容(疑義照会記録用スタンプを利用すると書き漏れが防げます)
(1) いつ(○年○月○日・○時○分)
(2) 誰が(薬剤師名;フルネーム押印で可)
(3) 誰に対して(回答者;医師・受付事務・薬剤部 ※担当者名も明記します)
(4) どのようなことを (疑義照会の内容)
(5) どのような方法で(電話・FAX・面会等)
(6) どのような回答を得たか

【記載例】

処方箋疑義照会
処方箋疑義照会

●薬歴への記録のポイント

①疑義照会の要点を記録する
O(客観的情報)・P(Cp:改善計画)や疑義照会の独立項目に、照会内容を記録します。
処方箋に記録した内容と相違が生じないよう注意します。

②疑義照会に至った経緯・考察を記録する
処方内容・S(主観的情報)・O(客観的情報)・残薬などから、「疑義照会の意図」をA(判断)に記録します。

③疑義照会の根拠となる文献など出典を記録する
「添付文書より」「インタビューフォームより」「メーカー学術部問い合わせによる」「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック(第6版)じほう参照」など、判断の根拠となった文献などの出典をA(判断)に記録しておきましょう。

【記録例】
S)毎晩しっかり薬を飲んでいたのに、血圧が150mm/Hgから下がらないんだよね。
先生から「1日2回に分けてみましょう」って言われちゃったよ。

O)本人
  アムロジピン10mg×1回→5mg×2回

A)BP150mm/Hgで、前回とほぼ同値。服薬はしっかりできていた様子。
BPコントロール不良のためアムロジピン分割服用と思われるが、添付文書上の用法(1日1回)と異なるため疑義照会→分1ではコントロール不良が予見されるため、分2投与処方とのこと。
眠前分1→朝・眠前分2で朝の飲み忘れ・Comp悪化注意。朝食摂取習慣(+)

Ep)今回からアムロジピンは朝食後と就寝前の1日2回に分けて飲む。1日のトータル量は変わらない。
朝の分を飲み忘れた場合は、思い出した時点で飲んで大丈夫。空腹でもOK。
用法変更後数日は、立ちくらみやめまいが起きることがあるので、車の運転等危険を伴う作業には十分注意。

Cp)[疑義照会]アムロジピン(5)の用法が添付文書(1日1回)と異なっているため照会。1日1回ではBPコントロール不良のため処方箋記載内容通り処方する旨の回答(○○Dr.、事務△△さん経由 TELにて)

Op)Comp悪化なかった?SE立ちくらみ等なかった?

●疑義照会に関する法令・規則など

●薬剤師法 第二十四条(処方せん中の疑義)

薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。

●薬剤師法施行規則 第十五条(処方せんの記入事項)

法第二十六条 の規定により処方せんに記入しなければならない事項は、調剤済みの旨又は調剤量及び調剤年月日のほか、次のとおりとする。
(略)
三  法第二十四条 の規定により医師、歯科医師又は獣医師に疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容

●調剤報酬点数表に関する事項  薬学管理料・区分10 薬剤服用歴管理指導料

(3) 薬剤服用歴管理指導料を算定する場合は、薬剤服用歴の記録に、次の事項等を記載する。
(略)
ウ 調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録

用量・用法違いや適応外処方、相互作用など疑義のある処方に対し、照会せずに調剤を行うことは義務違反にあたります。
積極的に照会を行い、しっかり記録を行いましょう。

Aを意識したSOPの記録

薬歴の「A」の内容を充実させていくためには、「Aに記録しておきたいこと」で紹介した内容を意識して「S」「O」の情報収集を行なうことが大切です。そして、その「A」に基づいた服薬指導=「P」を行ない、それぞれの内容を記録していきましょう。

●Problem情報(S・O) → 考察(A) → 計画(P)

薬歴の記録の際は、 「S→O→A→P」 の順で書くことが多いのですが、実際の調剤・処方監査・服薬指導の手順は、S→O→A→Pの順番通りに行なうことはできません。
この実際の業務順序と薬歴記録の順序の違いこそが、「薬歴は難しい」と感じる一因です。

それぞれのポイントで「A」を意識しておくと、S+O→A→Pをつなげやすくなります。

第2回「SOAPの役割分担」で紹介した通り、SOAP形式は「患者さんのProblem(問題・課題・悩み)を解決するため」の薬歴記入方法です。つまり「Problemを見極め、そのProblemを解決するための薬学的判断」=Assessment(A)がSOAPの中心となります。

下図に示す通り、Problemの分析・考察(A)につながる情報収集(S・O)を行ない、その解決方法を示す(A→P)ことがSOAP薬歴の充実につながります。

Aを中心とした薬歴チャート
Aを中心とした薬歴チャート

薬歴の表紙や、「9項目のチェックの仕方」で紹介した「9項目」もProblem考察・解決のための重要な情報となります。有効に活用しましょう。

10項目のチェックの仕方

今回のテーマ「10 項目」は、SOAP形式の記入方法とは異なり、指導料を算定する上で確認することが義務となっている項目です。適切に記入しましょう。

● 10項目のチェック

①お薬手帳の有無 : 有り(電子・冊子) ・ 忘れ(シールのみ) ・ 不要
→忘れの場合には「「次回以降は手帳を持参するよう指導」した旨を記載しましょう。
→不要の場合には(1)「手帳を保有することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明」を行ったこと、(2)持たない理由を記録しましょう。

②服用状況 : 良好 ・ 不良 ・ 該当なし
→不良の場合は原因や対策を薬歴に記録しましょう。

③残薬状況 : 有 ・ 無 (適切) ・ 次回確認 ・ 該当なし
→有の場合は種類・錠数・対処(医師報告・経過観察等)を薬歴に記載します。
→代理人などで確認できない場合は「次回確認」など申し送りを記載します。

④体調変化 : 有 ・ 無 ・ 該当なし
*体調の変化は、薬を飲んで体調が変化したかどうか?の有無です。「風邪をひいた」「捻挫をした」等の原因疾患・症状は対象外です。
*「体調」とは症状改善の有無(薬効の効果判定含む)や、副作用症状の有無に加えて「睡眠の良否」「食欲の増減」「便通の適否」などを指します。

⑤副作用の症状 : 有(薬剤名) ・ 無 ・ 該当なし
*警告や重篤な副作用として記載されている副作用の初期症状・自覚症状の具体的な症状について確認を行い、記録することが重要です。
*「無」の場合でも「腹痛・便秘確認(麻痺性イレウス:-)」「SE蕁麻疹なし」など   「何の副作用を確認したか?」という具体的な症状について記録しましょう。

⑥他科受診: 有 ・ 無 ・次回確認(確認中)
⑦併用薬: 有 ・ 無 ・ 次回確認(確認中)
→「処方・症状の変更時」「○ヶ月に1度」などと、ルールを決めて確認しましょう。
また、確認を行なった場合、表紙にも反映しましょう。

⑧合併症: 有 ・ 無 ・ 該当なし
⑨飲食物: 有 ・ 無 ・ 該当なし
*合併症・飲食物とも、処方薬剤と関係のある疾病・飲食物が対象となります。
例)緑内障の治療中・飲酒ありの患者さんの場合
ロキソニン錠;・合併症→無:消化性潰瘍(-)(緑内障(+)だが影響なし)
       ・飲食物→該当なし(アルコール(+)だが相互作用なし)

⑩後発医薬品の意向: 希望 ・ 希望無 ・ 該当なし
→希望しない方にも定期的に(1年に1度程度)再確認を行ないましょう。

以外は毎回確認する必要はありません。確認していない場合は「未確認」または「○をつけない」など、「確認していない」ことを記録しましょう。新患の場合は「該当なし」または2重線で消すなどで対応します。

平成26年度調剤報酬改定により、以上10項目は薬を取りそろえる前に確認することが義務になりました。
また、平成28年度調剤報酬改定により、お薬手帳を忘れた場合の対応(次回持参するように指導)や、不要の場合(お薬手帳の意義の説明と不要である理由)の記録が必要になっています。